犬のてんかんはとても深刻な慢性疾患のひとつです。原因が特定できない特発性てんかんや、脳の異常によって引き起こされる症候性てんかんなど、発症のパターンはさまざまです。
そして日常生活における食事管理が発作の頻度や重症度に関与することがわかってきました。
もちろん、薬による治療が基本ではありますが、食事の質を見直すことで、てんかんのコントロールに役立つ可能性があるのです。
本記事では「犬のてんかんに効く食べ物」について、栄養面のポイントや注意点をわかりやすく解説しながら、日常で取り入れやすい実践的な食事方法をお伝えします。
- 犬のてんかんに効果が期待される栄養素と具体的な食材
- 発作を悪化させる可能性のある避けたい食べ物
- ドッグフードの選び方や手作り食のポイント
- 食事以外にも気を付けたい生活習慣のアドバイス
犬のてんかんに効く食べ物！見直すことでできるケアとは
犬のてんかんは一度発症すると完治が難しく、薬でのコントロールが中心となりますが、近年では「食事療法」の重要性が注目されています。
特にてんかん発作の引き金となる血糖の急変動や栄養バランスの乱れを抑えることで、発作の頻度や重症度が軽減されたという報告も。第1部では、「犬のてんかんに効く食べ物」とされる食材や栄養素を科学的根拠を交えて紹介し、どのような形で日々の食事に取り入れられるのかを詳しく解説していきます。
犬のてんかんに効く食べ物の基本的な考え方
犬のてんかんに効く食べ物を考えるうえで、重要なのは「神経伝達の安定化」と「血糖値のコントロール」です。
てんかんは脳の異常な電気信号によって発作を引き起こすため、栄養バランスによって脳神経の興奮を抑えることが期待されます。
たとえば、ビタミンB群やマグネシウムは神経の正常な働きを支える栄養素。また、急激な血糖値の変動を避けることで、発作の引き金を減らせる可能性もあります。
加えて、最近では中鎖脂肪酸（MCT）やオメガ3脂肪酸など、脳の代謝を整える脂質が注目されています。
薬だけに頼るのではなく、食事からも脳の健康をサポートすることが、てんかんと共に生きる犬にとって大きな助けとなるのです。
まずは栄養の役割を理解し、正しい食材を選ぶところから始めましょう。
てんかんと血糖値の関係｜低GI食品が効果的？
犬のてんかんに効く食べ物として、血糖値のコントロールが注目されています。食後の血糖値が急激に上昇・下降すると、脳神経にストレスがかかり、発作を誘発する可能性があるからです。そのため、低GI食品（血糖値の上昇が緩やかな食品）を取り入れることが推奨されます。
具体的には、小麦や白米よりも玄米やオートミール、さつまいもなどが血糖値を穏やかに保つ食材として優秀です。
また、高タンパク質・中脂肪・低炭水化物のバランスを意識すると、血糖変動を抑えつつ脳の代謝をサポートできます。糖質が多く含まれるおやつや加工食品の過剰摂取も避けるようにしましょう。
こうした血糖値の安定は、日々の食事で無理なく実践できる対策です。発作の予防や頻度の低下に貢献できる可能性があるため、毎日のご飯を見直す第一歩として取り入れてみてください。
オメガ3脂肪酸の抗炎症作用に注目！
犬のてんかんに効く食べ物として、オメガ3脂肪酸は外せません。オメガ3脂肪酸には抗炎症作用があり、脳内の炎症を抑えることで神経伝達の安定化が期待されます。
特にEPAやDHAといった成分は、ヒトのてんかん研究でも改善の可能性が示唆されており、犬への応用も注目されています。
主な食材としては、青魚（サバ、イワシ、サンマなど）や亜麻仁油、チアシードオイル、えごま油などがあります。
ドッグフードの中には、これらの脂肪酸を強化した製品もあるため、成分表示を確認して選ぶのがポイントです。
ただし、脂質の与えすぎは肥満や消化不良の原因にもなりかねないため、適量を意識しましょう。体重や症状に合わせて調整することで、オメガ3のメリットを最大限に活かせます。
てんかんの発作を抑えるためには、日々の脂質の質に着目してみてください。
中鎖脂肪酸（MCT）を含むココナッツオイルの活用法
中鎖脂肪酸（MCT）は、てんかん管理において注目されている成分のひとつです。MCTは体内で素早くエネルギーに変換され、血糖値の変動に依存せずに脳の代謝をサポートできるのが特徴。
ケトン体を産生することで、神経の興奮を抑え、発作の頻度を減らす可能性があるとされています。
犬に与える際は、純粋なMCTオイルや、天然の中鎖脂肪酸を含むココナッツオイルが有効です。
特に、無添加・未精製のオーガニックココナッツオイルは、毎日のフードに小さじ1杯程度加えるだけで取り入れやすいのも魅力。
ただし、初めて与える場合は少量からスタートし、消化器の不調や下痢などがないか観察してください。
また、持病や服薬との兼ね合いもあるため、事前に獣医師と相談するのが安心です。MCTは犬のてんかんを食事面からサポートする心強い味方となるでしょう。
マグネシウムやビタミンB群がてんかんに良い理由
犬のてんかんに効く食べ物として、ミネラルやビタミンの存在も見逃せません。特に注目されているのが、マグネシウムとビタミンB群です。
マグネシウムは神経伝達の安定や筋肉の収縮を調整する作用があり、不足すると神経の興奮性が高まりやすくなります。
また、ビタミンB6やB1は神経機能に不可欠で、てんかん発作の予防に関与していると考えられています。
これらの栄養素を多く含む食材には、かぼちゃ、ほうれん草、ブロッコリー、レバー、納豆、卵黄などがあります。
ドッグフードでも栄養強化された製品が販売されているため、成分表示をよく確認することが大切です。
マグネシウムやビタミンB群は水溶性で、体に溜まりにくく不足しやすい栄養素です。毎日の食事で継続的に摂取できるように、バランスの取れた食材選びを意識していきましょう。
てんかんにおすすめの食材｜毎日のご飯に加えたいもの
犬のてんかんに効くとされる栄養素を含む具体的な食材を知ることは、日常的な食事管理において非常に有効です。以下のような食材は、てんかん管理に役立つ可能性があるため、取り入れてみる価値があります。
- 青魚（イワシ・サバ・サンマなど）：DHA・EPAが豊富で脳機能をサポート
- さつまいも・かぼちゃ：低GIで血糖値の安定に役立ち、ビタミン・食物繊維も豊富
- 卵・レバー：ビタミンB群や良質なタンパク質を含み、神経伝達を助ける
- ブロッコリー・ほうれん草：マグネシウムや葉酸が豊富で神経の働きを支える
- 亜麻仁油・ココナッツオイル：オメガ3脂肪酸やMCTで脳のエネルギー源に
これらの食材を毎日のフードに少しずつ加えることで、栄養の質を高めながら、てんかんの予防や症状緩和につなげていける可能性があります。
手作り食と療法食｜それぞれのメリットと注意点
「犬のてんかんに効く食べ物」を実践する際、手作り食に切り替える飼い主さんも増えています。
手作り食は食材の内容を自分で管理できるため、栄養バランスをてんかんに合わせて調整できるのが大きなメリットです。
しかしその一方で、栄養バランスを崩しやすいというリスクもあります。特にカルシウムとリンの比率、ビタミン・ミネラルの適量管理には注意が必要です。
一方、療法食（てんかん管理用に設計されたフード）は、あらかじめ必要な栄養素が整っているため、初心者でも安心して使用できます。
ただし、必ず獣医師の指示のもとで使用する必要があります。市販のプレミアムドッグフードにも、神経系の健康維持を目的としたものが増えてきているため、比較検討して選ぶことも大切です。
どちらの方法にもメリット・デメリットがあるため、愛犬の体調やライフスタイルに合わせて最適な方法を選びましょう。
犬のてんかんと食事管理の実例紹介
実際に「犬のてんかんに効く食べ物」を取り入れて発作が減少したという飼い主の声も多くあります。たとえば、8歳のトイプードルの例では、発作の頻度が月2回から2カ月に1回へと減少。
原因を探る中で、低GI食品とMCTオイル、オメガ3脂肪酸を組み合わせた手作り食に切り替えたことが効果を発揮したと考えられています。
また、別のミニチュアダックスでは、市販の療法食に加えて、手作り野菜ペーストとサプリメントを併用することで、発作時の回復が早まったという報告もあります。
どちらのケースも、獣医師と相談しながら段階的に食事を調整したことが共通点です。
食べ物だけで完治を目指すことはできませんが、発作の軽減やQOL（生活の質）の向上を実感できる可能性があります。
自分の愛犬に合った食事を見つけることが、てんかんと向き合ううえでの大きな支えになります。
犬のてんかんに効く食べ物を与える際の注意点と実践ポイント
「犬のてんかんに効く食べ物」を理解しても、ただ与えるだけでは逆効果になることもあります。
たとえば、過剰な脂肪や塩分、合成添加物を含んだ食材は、逆に発作を誘発する要因になりかねません。また、薬との相互作用を考慮する必要もあります。
ここでは、てんかん対策の食事を実践する際に気をつけるべきポイントや、食べさせてはいけない危険な食材、生活習慣と合わせたトータルケアについて具体的に紹介します。
犬のてんかんに効く食べ物でも注意が必要なケース
「犬のてんかんに効く食べ物」とされるものでも、すべての犬に効果的とは限りません。
体質や年齢、持病、服用している薬の種類によっては、かえって発作を誘発したり体調を崩すリスクもあります。
たとえば、脂質を増やすためにオイルを加えた結果、膵炎や下痢を引き起こす犬もいます。また、食物アレルギーを持つ犬にとっては、一見健康的な食材でも危険となることがあります。
また、てんかんの原因が特発性ではなく、腫瘍や中毒など明確な疾患にある場合は、食事療法だけでは対応しきれません。こうしたケースでは、まず根本的な病気の治療が優先されるべきです。
「効く」とされる情報に飛びつくのではなく、個々の犬の体調や病歴を踏まえた上で、慎重に取り入れる姿勢が大切です。
飼い主の判断だけで大きく食事内容を変える前に、必ず獣医師と相談するようにしましょう。
避けるべき食材｜発作を誘発するリスクがあるもの
犬のてんかんに効く食べ物を意識する一方で、「避けるべき食材」を知ることも極めて重要です。
代表的なのはチョコレートやカフェイン、アルコールといった中枢神経に作用する食品。これらは微量でもてんかん発作を引き起こす危険性があります。
また、玉ねぎやニンニクなどのネギ類は中毒症状を引き起こす可能性があり、神経系に悪影響を及ぼすことがあります。
加工食品や市販のおやつに含まれる人工添加物（保存料、着色料など）も、体内で代謝されにくく、発作の誘因になることも報告されています。
高脂肪すぎる食事も注意が必要です。とくに未精製の脂肪分を大量に摂取すると、胃腸への負担やインスリン分泌の乱れにつながり、間接的に脳神経へ悪影響を与えることがあります。
発作を予防するためには、「何を与えるか」だけでなく、「何を与えないか」も日常的に意識しておきたいポイントです。
薬との相互作用に注意！獣医師との連携の重要性
犬のてんかん治療では、抗てんかん薬（フェノバルビタールやイメピトインなど）の服用が一般的です。
ここで注意したいのが、食べ物やサプリメントとの「相互作用」です。たとえば、肝機能に強く作用する栄養素やハーブは、薬の代謝に影響を与えることがあります。
特に注意すべきは、オメガ3やMCTオイル、ビタミン類を大量に摂取するケース。
これらは有効成分である一方、薬の血中濃度を変化させてしまい、薬の効き目が強くなりすぎたり、逆に効きが弱くなる可能性があります。
また、薬と食事を一緒に摂ることで吸収が変化する薬も存在します。
安全に治療を継続するには、薬と併用する食事内容を獣医師に必ず伝え、必要に応じて血液検査で薬の濃度を測定してもらうことが重要です。
「効く」と思って与えた食事が、逆に治療効果を損なうことがないよう、常に専門家との連携を大切にしましょう。
与えすぎ・偏りを防ぐための食事バランスのコツ
「犬のてんかんに効く食べ物」として効果があるとされる栄養素でも、与えすぎや偏りがあると逆効果になる場合があります。
たとえば、MCTオイルや亜麻仁油などの良質な脂質も、多量に与えると肥満や消化不良の原因になりますし、腸内環境のバランスを乱すこともあります。
また、特定の栄養素ばかりを重視すると、他の必須栄養素が不足し、かえって体調を崩すことも。
特にビタミンやミネラルは相互に働き合うため、ひとつだけを強化しても十分な効果が得られないことがあります。
大切なのは、「全体のバランス」を見ること。タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン・ミネラルをまんべんなく摂取し、かつ、日ごとにバリエーションを持たせることで、偏りを防ぐことができます。
定期的に体重をチェックし、便の状態や元気さを観察することで、食事バランスが適切かを見極めましょう。栄養の質とバランスの両立が、てんかんと付き合う上でカギとなります。
継続的な観察と記録がカギ｜食事と発作の関係を追う方法
「犬のてんかんに効く食べ物」が本当にその子に合っているかを見極めるには、与えて終わりではなく、継続的な観察と記録が不可欠です。
特定の食材を取り入れた日と発作の発生状況を記録していくことで、「この食事を始めてから発作が減った」などの相関関係が見えてきます。
具体的には、「食事日誌」や「発作記録ノート」を作るのがおすすめです。食材の内容、食べた時間、体調の変化、発作の有無や頻度、持続時間などを記録します。
これを定期的に獣医師と共有することで、客観的な判断が可能になります。
記録を重ねることで、愛犬にとって良い影響を与える食事パターンが見つかることもあります。
小さな変化にも気づけるようになるため、食事管理の精度が上がり、長期的なてんかん対策にもつながります。
サプリメントの活用｜食事で不足する栄養素を補う
「犬のてんかんに効く食べ物」の効果を高めるために、食事だけでは補いきれない栄養素をサプリメントで補う方法もあります。
特に、マグネシウム、ビタミンB群、タウリン、MCTオイルなどの成分は、発作の抑制や神経の安定に有効とされており、ペット用サプリでも多く販売されています。
ただし、サプリメントは「多ければ良い」というわけではなく、過剰摂取によって逆に健康を害する場合もあります。
特に脂溶性ビタミン（A・D・E・K）は体内に蓄積されやすく、与えすぎには注意が必要です。
サプリを選ぶ際には、信頼できるメーカー製であること、犬種・体重・年齢に適した製品であることを確認しましょう。
できればかかりつけの獣医師に相談のうえで導入し、効果や副作用を丁寧に観察しながら使うことが大切です。
日常生活全体の見直し｜食事と一緒に改善したいこと
「犬のてんかんに効く食べ物」の導入と同時に見直したいのが、日常生活全体の環境です。
ストレスや過労、睡眠不足、極端な温度変化なども発作の引き金になることがあります。発作の原因は複雑で、単に食べ物だけで防げるものではないことを意識しておく必要があります。
たとえば、安心できる生活リズムを整えることで、発作の頻度が減る犬もいます。
朝夕の散歩の時間や睡眠環境、周囲の音や光、留守番の時間など、犬にとって安心できる「ルーティン」を保つことが効果的です。
また、過度な運動や興奮は避け、静かで落ち着いた環境を整えてあげましょう。
食事を整えることと同じくらい、こうした生活環境の最適化も、てんかんの予防や症状の軽減につながる大切な要素です。
犬のてんかんに効く食べ物のまとめ
犬のてんかんに対して、薬物療法と並行して「食べ物」を見直すことは、発作の頻度や重症度を和らげる可能性を持っています。
特に、低GI食、MCTオイル、オメガ3脂肪酸、ビタミンB群、マグネシウムなどが注目されており、日々の食事に工夫を取り入れることで、症状のコントロールに役立つ場合があります。
ただし、体質や薬との相互作用を考慮したうえで、獣医師と連携しながら安全に取り入れることが重要です。継続的な観察と生活全体の見直しが、てんかんと付き合う愛犬の支えになります。
- 「犬のてんかんに効く食べ物」は、低GI・MCT・オメガ3脂肪酸などが中心
- 食材例：青魚、さつまいも、ブロッコリー、卵、レバー、ココナッツオイルなど
- ビタミンB群・マグネシウムは神経の安定に重要な栄養素
- 食事の効果を確認するために、発作記録や食事日誌を活用
- チョコレート、玉ねぎ、添加物などは発作リスクがあり厳禁
- 薬との相互作用に注意し、獣医師と食事内容を共有すること
- 必要に応じてサプリメントで栄養を補うことも有効
- 食事だけでなく、生活環境やストレスの管理も併せて改善
犬のてんかんにおすすめのドッグフード
